AI · プロンプトの書き方
動画生成AIのプロンプトで使うカメラワーク用語は?
結論
カメラワーク用語とは、撮影現場でカメラの動きを表す言葉です。パンとティルトはその場でカメラを回し、ドリーは前後に、トラックは横に、ペデスタルは上下に動かし、オービットは被写体の周りを回ります。動画モデルはキャプション付きの映像からこれらの言葉を学習しているため、「cinematic camera」と書くより標準的な動きを1つ指定するほうが、はるかに狙い通りになります。
AI 写真から動画を開く正確な用語が大事な理由
動画モデルは、実際の映像に付けられたキャプションからカメラの言葉を学びます。「slow dolly in on her face」というキャプションがあれば、モデルはその表現を、被写体が画面内で大きくなり背景が少しずれるという特定の動きのパターンと結びつけます。「dynamic camera」のようなあいまいな表現はあらゆる動きと結びつくため、結果はランダムな寄せ集めになります。
以下の用語は撮影現場で使われているもので、多くはGoogleのVeoプロンプトガイドにも登場します。研究の世界でも、カメラの動きは独立した制御信号として扱われています。Stable Video Diffusionがカメラモーション用のモジュールと組み合わせて使えることが示され、CameraCtrlはテキストから動画を作るモデルに正確なカメラ軌道を加えます。テキストだけでは大まかな制御しかできないから、こうした研究があるのです。正しい用語を選び、1ショットにつき1つの動きにとどめ、何回かテイクを取るつもりでいましょう。
混同しやすい2つの組があります。パンとティルトは、首を振るようにカメラをその場で回転させます。トラックとペデスタルは、横に一歩動く、立ち上がるように、カメラ全体を横方向や上下に移動させます。回転では平面的に流れるだけですが、移動では視差が生まれ、近くの物は遠くの物より速く横切ります。
カメラワーク一覧表
| 動き | 画面での見え方 | 感情的な効果 | 書き方 |
|---|---|---|---|
| 固定(ロックオフ) | フレームが動かず、被写体だけが動く | 落ち着いた観察的な印象で、演技を見せる | static shot, locked-off camera on a tripod |
| パン | カメラがその場で左右に向きを変え、シーンが横に流れる | 空間を見せる、視線や動きを追う | slow pan left across the harbor |
| ティルト | カメラがその場で上下に向きを変える | 上へは規模や力強さ、下へは発見を表す | tilt up from her shoes to her face |
| ドリーイン/ドリーアウト | カメラが被写体に近づく/離れる方向へ移動し、背景に視差が出る | ドリーインは集中や緊張を高め、ドリーアウトは距離感や孤独感を生む | slow dolly in toward the man at the desk |
| トラック(左/右) | カメラがシーンと平行に横へ滑る | 滑らかで観察的、横を歩いて通り過ぎる感覚 | camera trucks right along the market stalls |
| ペデスタル(上/下) | カメラが傾かずに真上・真下へ昇降する | 物の上や下をそっと見せる | pedestal up from behind the counter to reveal the room |
| ズームイン/ズームアウト | レンズの焦点距離が変わり、像は拡大するが視差はない | 平面的で観察的、ときに唐突 | slow zoom in, camera stays in place |
| プッシュイン | ゆっくり一定に寄るドリーイン。多くは顔に向かう | 高まる感情や気づき | slow push-in on her eyes as she understands |
| プルバック・リビール | カメラが後ろに引き、フレーム外にあったものを見せる | 驚き、状況の説明、孤立 | pull back to reveal he is alone on a huge empty stage |
| オービット/アーク | 被写体を中心に置いたまま、カメラがその周りを回る | 重要性、英雄的あるいは夢のような瞬間 | camera orbits slowly around the dancer, half circle |
| クレーン/ジブ | カメラが大きな弧を描いて、多くは高所へ昇降する | 壮大な導入や締めくくり、スケール感 | crane shot rising up over the crowd to a wide view |
| トラッキング/フォロー | 動く被写体と同じ距離を保ってカメラが一緒に動く | 推進力、登場人物に寄り添う感覚 | tracking shot following her from behind as she runs |
| 手持ち | 人がカメラを持っているような、小さな揺れとふらつき | リアリティ、切迫感、ドキュメンタリー感 | handheld camera, slight natural shake |
| スウィッシュパン(ウィップパン) | モーションブラーを伴う非常に速いパン | 勢い、注意の素早い切り替え、場面転換 | fast whip pan to the door |
| ドリーズーム(めまい効果) | 被写体の大きさは変わらず、背景が伸びる/縮む | 衝撃、めまい、世界がずれる感覚 | dolly zoom on his face, background stretches away |
| ラックフォーカス | ピントが奥行きの別の位置に移る。カメラは動かない | 注意を移す、2つの被写体を結びつける | rack focus from the ring in the foreground to her face |
| ダッチアングル | カメラを横に傾け、水平線が斜めになる | 不安、何かがおかしい感じ | dutch angle, horizon tilted 20 degrees |
| 主観(POV) | 登場人物が見ているものが映り、多くは手がフレームに入る | 没入感、感情移入 | first-person POV, his hands on the steering wheel |
| FPVドローン | 狭い場所を低く速く、旋回しながら飛ぶ | スピード、スリル、途切れない旅 | FPV drone shot diving off the cliff and skimming the waves |
難しいものの補足です。ズームとドリーインは同じ構図で終わることがありますが、視差が出るのはドリーだけなので、空間の中を進んでいるように感じられます。ドリーズームは、この2つを逆方向に同時に行うもので、モデルには難しい動きです。単独で、シンプルな被写体に対して指定し、何回かテイクを生成しましょう。ダッチアングルとPOVは動きではなく構図の選択ですが、プロンプトでは同じ場所に書きます。
ショットサイズ
ショットサイズは、被写体がフレームをどれだけ占めるかを表します。モデルがどの細部を描くかを決めるため、プロンプトで最初に固めるべき要素です。
| ショットサイズ | フレームに入るもの | 向いている用途 |
|---|---|---|
| エクストリームロング/エスタブリッシング | ロケーション全体。人物は小さい | シーンの導入、スケール、地理の説明 |
| ロングショット(フルショット) | 頭からつま先までの全身と周囲 | 動き、ダンス、アクション、衣装 |
| ミディアムショット | 腰から上 | 会話、身振り、ほとんどのセリフシーン |
| ミディアムクローズアップ | 胸から上 | ボディランゲージを交えた感情表現 |
| クローズアップ | 顔、または1つの物 | リアクション、感情、重要な小道具 |
| エクストリームクローズアップ | 目、指先、しずくなど1つのディテール | 強い緊張感、質感、手がかり |
| オーバーザショルダー | 一方の人物の背後から、もう一方を見る | 2人の会話 |
AI動画では、群衆のロングショットより顔のアップのほうが安定しやすい傾向があります。一貫性を保つべき小さな人物が少ないからです。手や指は、シンプルな動きのクローズアップか、フレームの端に逃がしたときが最もきれいに映ります。
カメラアングル
| アングル | カメラの位置 | 効果 |
|---|---|---|
| アイレベル | 被写体の目の高さ | 中立的、率直 |
| ローアングル | 下から見上げる | 力強さ、威圧感、英雄性 |
| ハイアングル | 上から見下ろす | 弱さ、無防備さ、全体の俯瞰 |
| 鳥瞰/真俯瞰 | 真上から真下を見る | パターン、地図のような客観性 |
| ワームズアイ | 地面すれすれから急角度で見上げる | 圧倒的なスケール、ドラマ |
| ダッチ(斜めの構図) | カメラを横に傾ける | 緊張、方向感覚の喪失 |
アングルは動きと組み合わせられます。「Low angle, slow tracking shot」は明確な指示です。アングルが位置を、動きが経路を決めます。
プロンプトにカメラワークを入れる手順
- カメラの行から書き始めます。ショットサイズ、アングル、動き、速さの順です。例:
Medium close-up, eye level, slow push-in. - 動きの対象を指定します。何に寄るのか、誰の周りを回るのか、どこからどこへパンするのか。
- 動きに速さと終点を与えます。「slowly」「over the full clip」「stops on her face」など。
- 被写体のアクションは別に書き、カメラの動きが大きいときはアクションを小さくします。
- レンズの言葉は必要なときだけ足します。
shallow depth of field、wide-angle lens、telephoto compressionなど。
Wide shot, low angle, slow crane up.
A lighthouse on a rocky coast at sunset; waves break on the rocks below.
The camera rises from the rocks to above the lighthouse lamp, ending on a
wide view of the sea. Warm orange light, long shadows, light sea mist.
Audio: waves, wind, seagulls.1枚の写真から作る場合は、動画モデルを使わずにカメラを動かすこともできます。たとえば cv.cm の v ツールは、写真から深度を推定し、押す・引く・オービット・パン・上昇といった本物の3Dカメラの動きをレンダリングします。動くのはカメラで、被写体は静止したままです。自分の写真で各カメラワークの見え方を手早く確かめるのに向いています。
モデルが苦手なこと
- 動きの組み合わせ:「orbit while craning up and zooming」のような指定は、歪んだりふらついたりする軌道になりがちです。動きは1つにしましょう。
- 速さ:速い動きは顔がぼやけたり歪んだりします。速い動きは風景や何もない空間のほうが向いています。
- ズームとドリー:多くのモデルは両方を「近づく」と解釈します。視差が欲しいときは、「dolly in」に加えて「camera moves forward」とも書きましょう。
- 360度のオービット:一周させると、あらゆる物の裏側をモデルが作り出さなければなりません。半円か短いアークのほうが安全です。
- ラックフォーカスとドリーズーム:これらは光学的な効果で、現時点ではモデルによって結果がまちまちです。シーケンス全体を組む前に試しておきましょう。
- 手持ち:揺れが強すぎるモデルもあります。「slight」や「subtle」を添えましょう。
よくある質問
パンとトラックショットの違いは何ですか?
パンは、固定した位置からカメラを左右に振ります。トラックはカメラ全体を横に動かすので、近くの物と遠くの物が異なる速さで流れていきます。
ズームとドリーの違いは何ですか?
ズームはレンズを変えてカメラを動かさずに像を拡大するため、視差は生まれません。ドリーはカメラが空間を移動するので、被写体に対して背景がずれます。
ドリーズームは何に使いますか?
被写体の大きさを保ったまま背景が伸びたり縮んだりして見える手法で、衝撃や突然の気づきを表します。「めまい効果(vertigo effect)」とも呼ばれます。
緊張感のあるシーンにはどのカメラワークが向いていますか?
顔に向かうゆっくりしたプッシュインは緊張を高め、手持ちの揺れやダッチアングルは不安感を加えます。動きに感情を託せるよう、被写体のアクションは小さくしましょう。
ドローン映像のFPVとは何ですか?
FPVはfirst-person view(一人称視点)の略で、操縦者がゴーグルを着けて飛ばすため、映像は速く、低く、旋回します。プロンプトで「FPV drone shot」と書くと、滑らかで高い空撮とは違うこのスタイルを指定できます。